KEE’SスピーチKIDS:質問に黙り込んでしまう子

親というのは、子どもにあれこれ質問してしまうものです。

「学校は楽しかった?」「最近、どんな子と付き合ってるの?」「将来、どういう道に進みたいの?」「真面目に勉強する気あるの?」など、子どもからすると、とにかく毎日質問攻めです。子どもが「うん…」「まあ…」と煮え切らない返事をすると、イラっとしてしまったり。

KEE’Sでは幼児から大学生まで(子どもとは呼べないかもしれませんが)の親御さんが、お子さんと一緒に話し方のご相談にいらっしゃいます。

多くは「はっきりと話せない」「主張できない」という内容ですが、親子の会話を聞いていると、なるほどなと思ったりします。

ハッキリ話せない子どもの親は、やはり同じタイプかと思いがちですが、実は親はハキハキ主張するタイプが多いのです。

こちらが子どもに質問を投げかけて、その子が答えられないでいると、すかさず「学校のお友達との会話が苦手なのよね?」などと親が横やりを入れてしまったりします。

親御さん的には、お子さんが「発言する」のが苦手と思いこんでいるのかもしれませんが、決してお子さんだけが不得意なのではありません。親御さんの方も「聞くこと」が苦手なのです。

幼い頃から、子どもの発言を取り上げ続けていると、その子が自己主張するタイミングを失ってしまうのは言うまでもありません。

では、どうすれば、黙り込んでしまう子どもが、自ら発言するようになるのでしょうか?

まずは、子どもが黙っている「間」を尊重してください。

質問してもすぐに答えがかえって来ない時は、お子さんが内的会話をしているときです。 内的会話とは、自分自身との会話、すなわち言葉にせず色々考えている状態を指します。

一生懸命、子どもが自らの頭で考え、答えを出そうとしている時間を決して邪魔してはいけません。

もし、じっと待っていても答えがまったく出ない場合は、代わりに答えてしまうのではなく、答えを引き出してあげられると良いかもしれません。質問を簡単にしたり、違った角度の質問を投げかけたりしながら、性急に結論を出そうとせずに、一緒に導くことが良いのです。

また、そうやって導き出した答えが、親の意図に反する答えでも、子どもの答えを正解とする優しさや潔さも必要です。

多くを語らないお子さんを持つ親御さんは、はがゆい思いをされると思いますが、日々の生活の中で、その気持ちに寄り添い、引き出すことができるのは、話し方講師より、お父さんお母さん自身なのです。

KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈