「日本人は、言葉のパワー、スピーチの重要性をもっと意識すべき」

中川 いち朗様 シスコシステムズ合同会社 代表執行役員社長

レッスンを受けようと思ったきっかけを教えてください

もともとスピーチや人前で話すことは好きだったのですが、経営者になって、多くの方の前でスピーチする機会が増えたことがきっかけです。
また、自分が思っている以上に、スピーチによって人々に与える影響が大きいということに気づいたため、よりスキルアップする必要があると感じました。

経営者の話し方には何が重要だと気付かれたのですか

経営者として話をするというのは、それによって影響される人が 100人、 300人、 1000人であり 1万人になる場面がある、ということです。私にとっては10分のスピーチでも、1000人の方々が聞いていれば10000分、すなわち166時間の時間を使っていただいているわけです。その重要性と影響力を感じた時、もっと自分のスキルを上げて、聞いていただく方々に大切なことを伝える努力をしなければいけないという使命感に駆られました。それまで、スピーチするときにうまく見られたいという意識が、うまく伝えたいという気持ちに変わりました。

スピーチは苦手ではない、好きな方だと仰っていましたが、
課題は意識されていましたか

話すことが好きなだけに、 自分が話したいことに集中して、聞き手にどのように伝わっているか、聞き手側の立場で話し方を考えることがなかなか出来ませんでした。
また、リーダーとして伝えたいこと、話したいことが沢山あるから、長くなりがちです。時間と場面の制約がある中、いかに大事なことを簡潔に話すか、焦点を絞ってプライオリティをつけて話すか、削ぎ落としが課題でしたね。

レッスンでご自身のスピーチを客観的に見てどう思われましたか

発見の連続で、 「自分はこんなに下手だったのかな」と思う場面も多々ありました。自分で自分をビデオで観るというのは、あまり心地よいものではありません。「恥ずかしい」とか「下手なんだと思いたくない」と。でも、客観的に見ると、自分の癖や課題点が手にとるようにわかります。
最初は自分が話している姿を見るのはすごく抵抗感がありましたが、今は全然嫌ではなくなりました。むしろ、向上心の方が強くなって、上手くなる事への意識が高まり、客観的に見れるようになりました。今では毎回自分のビデオを見るのが楽しみです。

実際にレッスンを受けて印象に残った点や役に立った点はどんな所ですか

論理的にどういうものがいいスピーチなのかを、教えてもらいました。それまでは、自分で上手に話しているつもりでも、相手にうまく伝わっていないということを知るのが怖かったのです。トレーニングを受けて、「本当に素晴らしい、効果のあるスピーチはこれだ」っていうことを頭で理解できました。
目標としての“なりたい姿”と現在の“自分のスキルレベル”の2つが把握でき、毎回スキルアップしていく実感をもてるようになりました。

どのようにトレーニングを活かして頂いていますか

トレーニングをしても、長年の自分の癖はなかなか治りません。学んだことを、即実戦で試してみて、その効果を実感して初めて身につきます。
私は、教えてもらったスピーチをする時の注意点を、自分で「スピーチ10カ条」にして、手帳に書きとめて、常にリマインドしています。「ゆっくり、笑顔、間をあける、語尾は目線を向ける、「えー」「あー」と言わない、ゼスチャーはゆっくり、一本調子にならない、一人一人に話しかけるように、語尾は丁寧過ぎない・・・」というように。
あとはスピーチが終わった時に感じたこともメモしています。 「伝えたい気持ちを大事にする」など書いていますね。教えていただいた「シンプル・コンパクト・インパクト」や、自分の課題を忘れないように「Simple, Smile, Slow」3Sを心掛けています。

レッスン受講前と受講後の周りの方からの反応はありますか

私のスピーチを聴いて、「中川さんどこかでスピーチを勉強してるんですか」「安定感のあるスピーチはどこかで習ってるんですか」って言われたことはあります。質問されたら、「アナウンサーの先生に教えてもらっている」と答えています。それに対しては、「中川さんでも実は努力してるんですね」という反応は多いですね。「まさか練習しているとは思いませんでした。」と。リーダーの中にはレッスンを受けていることを隠そうとする人がいますが、むしろ経営者でも努力をしているということを教えて、若い人たちにもスピーチの重要性を感じてもらい、日本人全体のスピーチの質を向上させたいですね。

御社社員の方にも弊社の研修を受講していただきありがとうございます

弊社が企業カルチャーとして最重視していることが「チームワーク」です。チームで仕事を進めるということはお互いに影響し合う。伝え方によって仕事のパフォーマンスは変わります。自分の考えや想いを伝えられないと、チームとして力が発揮できないということです。コミュニケーション力を身に付ける事は必須だと思っています。またリーダーになれば、その影響はさらに大きくなります。社員一人一人がコミュニケーションの重要性をより強く感じて欲しいです。

日本のエグゼクティブに向けて一言いただけますか

日本の経営者は、自分の一言がどれだけ社員、お客様、市場に影響を与えているかを、もう少し意識した方がよいかもしれません。「言葉が大きな影響を与える」という意識が弱いように感じます。
ただ、挨拶するという意識ではなく、そのスピーチによって何を変えようとしているのか、明確な意識を持ってスピーチすべきだと思います。私は外資系企業に勤めているので、英語圏のエグゼクティブのスピーチをよく聞きます。彼らのスピーチのスキルは残念ながら格段に上です。これは語学だけの問題ではありません。日本人は、言葉のパワー、スピーチの重要性をもっと意識すべきだと思います。そして、日本人全体のスピーチ力の向上が、日本の社会を変える一つの要素になるということをもっと意識して欲しいと思っています。

それと、やはり経営者にとって大切なことは、スピーチのテクニックの前に、何を伝えたいか、そして伝えたいうことにどれほどパッションを持っているか、結局はそこに尽きると思います。

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