仕事上、1on1ミーティングや対面ヒアリングの場で部下や従業員の話を聞く機会がある方には、「相手の話を聞くことがいかに難しいか」がおわかりかと思います。
- こちらの質問に対してすべてポジティブに答えていた部下が、突然辞めてしまった…
- 話しているうちに、仕事の愚痴を聞かされている気になり、気がつけば説教してしまった…
こういうことは少なからず起こり得ます。
では、1対1で面談やヒアリングをするシチュエーションでは、いったいどういう点に心掛ければ良いのでしょうか?
まず、最も重要なのは、相手の真意を捉える聴き方をすることです。真意とは、表面的な言葉の裏側に潜む、本心です。
仕事のシチュエーションで、本心を100%さらけ出して話せる人はそうそういません。おそらく、どんなにストレートに話す人でも、上司と1対1になって話せるのは、本心のほんの一部です。大部分の本音の部分は、感情も含め、「話せない内容」あるいは「話す必要のない内容」と判断され、その場では伝えられることはありません。
では、その真意は、どうすれば引き出せるのでしょうか?真意は、言葉以外の部分に現れます。表情、視線、動作、声色、間合い、言葉遣い……そういったノンバーバルな要素にいかに気がつくことができるか?が聞き取りのスキルで非常に重要になってきます。
普段から、部下の少しの変化にも気がつける観察力、洞察力がある人は、聞き取りもおのずと上手なはずです。
言葉と言葉以外の要素の間にかみ合わない部分、煮え切らないような違和感を感じたら、丁寧に、そこを聞き出していきます。ノンバーバルな真意を言葉にして伝えてもらうように導くわけです。
もちろん、本人が隠しておきたい部分もあるので、引き出せる範囲の見極めは慎重に行う必要はありますが、上長として把握しておくべき部分は、きちんと引き出すことも必要でしょう。
相手が話しやすくなるような、雰囲気や話し方作りももちろん欠かせないスキルです。最初から真意をすべて聞き出すことは難しいかもしれませんが、「真意は、聞き手の自分が引き出そうとしない限り語られることはない」と考えることからスタートしてみてくださいね。
エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈
