話し方教室KEE’Sでは、笑顔のように相手を明るく楽しくさせる声のことを「笑声(えごえ)」と呼んでいて、ビジネスマナーの一環として、いつでも笑声を出せるように、ビジネスパーソンの方にトレーニングしています。
笑声(えごえ)とは
笑声(えごえ)とは、声からも笑顔のような明るさが伝わる声のことを指します。実際に自分の笑顔が見えなくても、声のトーンや息づかいから「にこやかさ」が伝わる話し方です。顔が見えないコールセンターでの電話応対や、接客・プレゼンにおいては声だけでも人柄や親しみやすさを届けられるため、お客様への印象が重要となるビジネスシーンでは特に重宝されます。
笑声の特長には以下の点があげられます。
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- 明るい響きになる
口角を上げて発声するため、声がやわらかく高めに聞こえます。
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- 安心感・好感度がアップする
明るく親しみやすい笑声は、聞き手の緊張を和らげたり、親近感を感じることで、安心したり好感度がアップする効果が期待できます。
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- 感情が伝わりやすい
笑声は抑揚のある話し方なので、言葉に込めた気持ちがストレートに届く話し方になります。
笑声(えごえ)の重要性
ビジネスで社内外の人とコミュニケーションを取る最大の目的は、信頼関係を築くことです。
話し方技術の基礎を築いたアリストテレスは弁論術という本の中で、信頼される人になるために必用な要素を3つ挙げています。
・思慮… 公平で、深い考えを持っていること
・徳…… 善いこと、悪いことをきちんと判断できること
・好意… 人から好かれる要素を持っていること
第一印象が勝負のビジネスシーンでは、まず好意の「人から好かれること」が信頼関係の第一歩であると言えます。
第一印象は、容姿や服装と言った見た目の清潔感に加え、表情や立ち居振る舞いといった動作が与える印象、そして、話した際の、声や発音、言葉遣いといった話し方が与える印象が決定します。
家を出る前に、鏡を見て服装やメイク、髪型をチェックする人は多いのですが、立ち居振る舞いや話し方までチェックする人はそう多くはありません。
第一印象を決定する要素の中で、動作や話し方が与える印象も3割以上はあると考えられているのです。
特に気にしてほしいのは、声が相手に与える印象です。
顔の表情と同じく、声にも表情があります。
声の表情が明るいと、明るい気持ちが伝わりますし、声の表情が暗いと、相手にも沈んだ気持ちが伝わります。
笑声(えごえ)のメリット
好印象が得られる、相手の気持ちを和ませることができる、緊張対策にもなるなど、笑声にはビジネスパーソンにとって多くのメリットがあります。
商談を円滑に運べる
声は相手の気持ちにも影響を与えます。商談だからといって緊張した心のまま声を出すと、相手の心も緊張させてしまいます。そんなときに、どんなに緊張していても明るく楽しい気持ちが伝播する笑声が出せると便利です。
第一印象で笑顔と笑声であいさつをし、アイスブレイクすれば、緊張感のある商談の場を和ませて、商談を円滑に運ぶことも可能です。
緊張対策になる
緊張しやすい人の緊張のコントロールで最も有効なのは、まず笑顔を作り、笑声で話し始めることです。
心と体と話し方は三位一体なので、心が緊張し、体にも力が入ると、顔の筋肉も硬直し、笑顔が作りにくくなります。
顔や体がカチコチのまま発せられた声は当然、緊張を伝える声となってしまいます。
いつでも、笑声で話せるトレーニングをしていると、心が緊張していても、体や顔の筋肉をリラックスし、笑顔を作り、笑声で話し始めることができるので、相手に緊張が伝わりません。
それどころか、体や顔の状態がリラックスしていると、脳には「あなたはリラックスしていますよ」という信号が送られ、心もだんだん落ち着いてきます。
次回は、自宅でもできる、笑声を出す練習方法をお伝えします。
エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈