仕事でプレゼンをする機会があるたびに、自信がなくうまくいかないと感じたり、もう少しレベルを上げたいと感じていたりする人もいるかもしれません。プレゼンを成功させるためにはいくつかのコツがあります。
今回は、プレゼンを成功させる話し方の数あるコツの中でも、特に押さえておきたいものをご紹介します。ぜひ取り入れてみてください。
1. プレゼンの前準備のコツ3選
プレゼンを行う前には、プレゼン資料の用意やリハーサルなど、何かと準備が必要になります。まずは話し方のプレゼンの前準備のコツを紹介します。
●発声練習をする
プレゼンは自分が話をしながら行うものですので、話し声はとても重要です。前もって発声練習を行い、聞き取りやすい声で話せるようにしましょう。
・笑声で話す
発声練習の際に、ぜひ心がけていただきたいのが、「笑声(えごえ)」で話すことです。笑声とは、笑顔のように相手を明るく楽しくさせる声のこと。笑声は、好印象が得られ、聞き手の気持ちを和ませることができるほか、自分の緊張対策にもなります。
笑声は口角を上げた状態で話すと、簡単に出すことができます。練習方法は、鏡の前に立ち、口角を「い~」と発音しながら真横に引き、その状態のまま、口角をくいっと上げ、「え~」と言いながら逆三角(▼)の口を作ります。そしてできるだけ逆三角(▼)の口を維持しつつ(口角を上げたまま)、「おはようございます」「おつかれさまです」「よろしくおねがいします」と言ってみましょう。
このとき、口角を上げることを意識しながら、心をこめて話すことがポイントです。
上述の笑声トレーニングとあわせて、「腹式呼吸」を取り入れると、プレゼンテーション本番でより安定した声量が出せるようになります。腹式呼吸はお腹に空気を送るイメージで深く吸い込み、吐く際はゆっくりとへこませるのがポイントです。事前にこの方法を身につければ、左右にいる聞き手にも声が届く明瞭な発声が可能となるでしょう。
また、朝の身支度をしながら「あ・い・う・え・お」「パ・ピ・プ・ペ・ポ」など、口をしっかり大きく動かして声を出す練習もおすすめです。最初は少し照れがあるかもしれませんが、習慣化しておけば本番プレゼンテーションのときにも滑舌よく話せるような発声が身につきます。
●リハーサルを動画撮影する
プレゼンを一通りリハーサルする方は多いかと思いますが、そのときに動画撮影をして自分のプレゼンを客観的にチェックしてみるのをおすすめします。動画を見ることで、気づかなかった自分の話し方や動作の癖や声の高さやスピード、話す内容などを確認でき、改善することができます。
また、動画撮影を行った際は、ただ声のトーンやスピードを確認するだけでなく、左右の動きや表情の硬さにも注意してみてください。最初の数秒で聞き手の興味を引くために、口角を上げて柔らかい表情を意識すると好印象を与えられます。また、デザイン要素の多いスライドを使うときほど、指し示し方や目線の使い方を客観的に見返しておくと役立ちます。
さらに、昨今はオンライン会議ツールでプレゼンテーションを行っている企業も多いです。ネット接続やカメラアングルが原因で伝わり方が変わることがあるので、事前にオンライン環境でも動画撮影しておくと、本番にスムーズに対応可能となるでしょう。
●緊張対策として「心・技・体」を意識する
プレゼン中、緊張することは避けられません。しかし緊張がマイナスに働いてしまうと、リハーサル通りに話せなくなることもあります。それを防ぐために、少し工夫をしましょう。
まず話し始める前に3秒、聞き手とアイコンタクトをする時間を取ってみてください。このとき、笑顔で行うとお互いに和やかな気持ちになることができます。
そして「心・技・体」を意識することをおすすめしています。まず「体」をリラックスさせた状態で、笑顔でお腹の底から第一声を出します。すると「心」が自然と落ち着いてきます。そして身振り手振りの「技」であるジェスチャーを使って伸び伸びと話すことを心がけましょう。
2. 実践ですぐ使えるプレゼンのコツ10選
続いてプレゼンの実践で使えるコツを、「話し方」「パフォーマンス」「資料・プレゼンの組み立て方」の3つのカテゴリごとにご紹介します。
【話し方】
●ゆっくりと大きな声で語尾をはっきり話す
話し方の基本として、先ほどご紹介した笑声と共に、ゆっくりと大きな声で、語尾をはっきりさせることを意識しながら話すのをおすすめします。早口や小さい声でぶつぶつ話すと聞き取りにくく、聞き手にとって内容が頭に入りにくくなってしまいます。
●一番伝えたい部分を強調する
数ある話し方のコツの中でも、ぜひ押さえておきたいのが、一番伝えたい部分を強調しながら話すことです。いくら優れたプレゼン内容でも、淡々と単調に話してしまうと、何が言いたいのか、また何が重要なのかが聞き手に届きません。伝わらなければ良いプレゼンとは言えませんので、こちらから強調する必要があるのです。
音に高低差をつける、強弱をつける、感情を込める、スピードを変えるといった方法があります。
●音の高低差をつけるテクニックで効果的に伝える
重要な部分を強調するときにも役立つ音の高低差をつけるテクニックを身につけておきましょう。一つの単語の中で高低差をつけて発音したり、強調したい部分はあらかじめ高い声で始めたりする方法があります。強調したい言葉にあらかじめ下線を引くなどしておき、意識して読むのもおすすめです。
●ドッグワードを減らし、“間”を効果的に使う
「あの…」「えーっと…」など考えながら口にしがちな言葉が増えると、プレゼンテーションのテンポが乱れてしまう可能性があります。そうした場合は、思い切って間を取り、次に何を説明すべきかを頭の中で整理すると、聞き手にも「ここから重要な話が始まるのかな」と感じてもらいやすくなります。
【パフォーマンス】
●原稿ばかりを見ず、聞き手と積極的にアイコンタクトを取る
プレゼンの最中、よくありがちなのが、手元の原稿をじーっと見ながら話し続けることです。確かに間違いのない内容を話すことも重要ですが、自信がないように見えますし、伝えたい箇所が十分に伝わりにくくなります。
原稿はたまに見る程度にし、基本は聞き手の目を見て話すようにしましょう。自分から積極的にアイコンタクトを取るようにすると、効果的に内容が伝わりやすくなります。
●目線の動かし方は1センテンス1ブロック
いくら聞き手のほうを見ていても、じーっと同じところを見たり、目線が泳いでいたりすると聞き手を不安にさせてしまいます。
目線は自然と動かすことが大切です。会場を3つくらいにブロック分けして、目線をゆっくりと動かしていきましょう。ペースは、1センテンス(5秒程度)を話すごとに、目線を1ブロック動かすくらいのイメージです。
●投影資料を指すときの手の形と目線を意識する
資料を投影しながら話す場合、指し示す手や目線の動きも重要です。投影資料を手で指し示すときには、指は閉じてそろえ、指し示したい箇所の下に添えると綺麗に見えます。目線は資料のほうに向けましょう。
【資料・プレゼンの組み立て方】
●結論から話す
資料やプレゼンの組み立て方で大切なことは数多くありますが、結論から話すことはロジカルスピーチにおいて重要なことの一つです。話し始めの段階で結論がわからないと、聞き手に「で、結局、何が言いたいの?」といった心理的な負荷を与えてしまいます。プレゼンでは簡潔に要点をまとめて冒頭で示し、聞き手の負荷を減らすことが大切です。
●1スライド1メッセージにとどめる
プレゼン資料については、1スライド内に情報を詰め込み過ぎないようにしましょう。聞き手が多くの情報の中から、何が重要なのかをとらえにくくなりますし、一番伝えたい内容のインパクトが薄れてしまいます。
「1スライド1メッセージ」にとどめるのが基本です。端的でインパクトのある言葉を1つに絞り、要素を入れる場合は3つまで、というくらいにシンプルにするのをおすすめします。
●聞き手に自ら考えてもらうような質問をする
プレゼンの最中、聞き手にクイズのように質問を投げかけることで、自ら考えてもらうように促すこともおすすめです。聞き手に、プレゼンを集中して聞く姿勢を持ってもらうことができます。
3.プレゼンの話し方で重要な導入で聞き手の心をつかむ3つの方法
プレゼンで聞き手の心をつかむためには、最初の導入部分でどれだけ興味を引けるかが大きなカギとなります。一度興味を持ってもらえれば、後のプレゼンテーション全体をスムーズに進めやすくなり、相手の理解も深まりやすくなるのです。最後に、プレゼンの導入時に有効な3つの方法について解説します。
●初対面でも親近感を持ってもらうアプローチ
プレゼンの場面は、聞き手と初めて顔を合わせるケースが少なくありません。そうした状況で、最初から堅苦しい雰囲気をつくってしまうと聞き手は緊張したままになり、プレゼン内容への興味も下がってしまいがちです。そこで有効なのが、初対面の相手に対して親近感を持ってもらうアプローチを行うことです。
たとえば、「今日はお集まりいただきありがとうございます。私も少し緊張しておりますが、できるだけわかりやすくお伝えできるように頑張ります。」などと率直な気持ちを述べる方法があります。このように、プレゼンテーションの出だしで自分の想いを共有すると、相手に「自分ごと」として捉えてもらいやすくなるのです。さらに、その後の説明では笑顔を絶やさず、左右に視線を配りながら会場全体を見渡していくと、聞き手に「自分のことをちゃんと見てくれている」という安心感を与えられます。
●クイズや数字で興味を引く
聞き手が思わず「どういうことだろう?」と考えたくなるようなクイズを投げかけたり、「実はこの業界では、〇%の方が△△を利用しています」といった具体的な数字を提示したりする方法も有効です。数字やクイズでインパクトを与えると、聞き手の意識は自然とプレゼンの次へと向かいます。これから行っていく解説の概要を伝える前に、大きなフックを作っておくと良いでしょう。
たとえば、「ここで問題です。皆さんは1日にスマートフォンを何時間使うと思いますか? ある調査結果では、平均して〇時間と報告されています。」といった形で導入すると、「まさかそんなに長い時間?」と聞き手の気を引くことができます。そこで興味をかき立てられると、プレゼン全体の構成をしっかり聞いてもらいやすくなります。
●プレゼン概要を簡潔に伝えて集中力を高める
クイズや数字で関心を高めた後には、プレゼンの目的やゴール、そして目次となるポイント一覧を最初に簡潔に示すことが大切です。聞き手は何が知りたいのか、これから具体的にどのようなポイントについて話が進むのかが把握できると、最後まで集中して内容を追いやすくなります。
たとえば、「本日のプレゼンテーションは、まず△△の市場動向を解説し、その後に私たちのサービスを活用するメリットを3つご紹介いたします。最後に質疑応答の時間を設けております。」というように、最初にプレゼン全体の流れを示しておくのです。これにより、結論ありきの流れを理解してもらいながら、聞き手も予測を立てながら聞くことが可能になります。
4. まとめ
プレゼンの話し方のコツをご紹介しました。今回ご紹介した内容はごくわずかなコツです。一つ一つを押さえながら、数多くのテクニックを駆使することで、優れたプレゼンを行えるようになるでしょう。
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