話すのがあまり得意ではなく、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。けれど、仕事やビジネスシーンでは会議やプレゼンスピーチなど、話す機会やコミュニケーションの機会は多いものです。
そこで今回は、話すのが苦手な人のよくある悩みの解決策として、元アナウンサー直伝の、話し上手が実践している話し方のコツをご紹介します。
目次
1.話すのが苦手な人のよくある悩み
2. 話し上手が実践している20のコツ
3. 話し上手が重視していること
4. 話し方のコツを短期間で身につける3つの方法
5. “やってはいけない”NG話し方5選と改善ポイント
6. まとめ
話すのが苦手な人のよくある悩み
話すのが苦手な人は、次のような悩みを抱えています。
- 話すのが苦手で緊張してしまう
- 一番言いたいこと・気持ちが伝わらない
- 論理的に話すのが苦手
- 滑舌が悪い・聞き取りにくいと言われる
- 話し方がうまい人が意識していることを知りたい
話すのが苦手であることを理由に緊張してしまい、練習と同等かそれ以上のパフォーマンスが発揮できないという悩みはよく聞かれます。
また話してはいるものの、自分が最も言いたいことや伝えたい気持ちが伝わらないという悩みもあります。
感情がどうしても優先してしまい、論理的に話すのが苦手な人、滑舌が悪かったり、聞き取りにくかったりする悩みもあります。
どうにかうまく話すことができるように、話し方が上手い人がどんなことを意識しているのかを知りたいと切に思っている人もいるでしょう。
これらの悩みはすべて解決することができます。次の段落からは、話し上手が実践しているコツをお伝えしていきます。
話し上手が実践している20のコツ
話し上手が実践しているコツを内容、声・テクニック、行動・意識の3つのジャンルに分けて解説します。
声・テクニック
- 腹式発声
- 聞き取りやすい声量とスピード
- 滑舌よくはっきり話す
- 音の粒をそろえる
- 「ソ」の音階・高さで話す
- 笑声(えごえ)
- 抑揚をつける
- 間(ま)やリズムを大事にする
- 「え~」「えーっと」など無駄な言葉を入れない
アナウンサーが発声するときは、必ず腹式発声を行っています。お腹をへこませて、息を吐き出しながら声を出す腹式呼吸から声を発します。腹式発声により、力強いエネルギーに満ちた声を出せます。
聞き手にとって聞き取りやすい声量とスピードが重要です。早口になりすぎず、ゆっくり話しましょう。
聞き取りやすいように滑舌は良いのはもちろんのこと、語尾まではっきり話すことが大切です。話の結末がどうなるかは、誰もが気になるものです。最後のほうが「ごにょごにょ」していると何が言いたいのか伝わりません。
口を開けずに声や早口で話すと、脱落音といって音が一部、脱落してしまう音が出てきます。聞き取りにくくなってしまいますので、人をしっかりと一音一音、はっきり音の粒をそろえるように発声してみてください。
人前で話すときは、「ソ」の音階と高さで話してみてください。自信のある明るい声に聞こえるようになります。実際にやってみると、腹式発声は必須だとわかりますよ。
笑声とは、笑顔のように相手を明るく楽しくさせる声のことで、好印象を与えられます。口角を上げた状態で話すと、簡単に出すことができます。口の形だけでなく、心をこめて話すことがポイントです。
棒読みではなく、抑揚をつけると、どこが重要なのかが相手に伝わりやすくなります。
立て続けに話すのではなく、ほどよく間を入れたり、リズムよく話すこと。これにより聞き手が心地よく聴き入ることができます。
「え〜」や、「えーっと」などを話の合間に入れてしまう癖のある人がいます。あまりに多いと、聞き手の意識が「え〜」のほうにいってしまい、話の内容を理解してもらえない可能性があります。無駄な言葉を入れないように意識しましょう。
行動・意識
- 聞き手と目を合わせる
- 聞き手が理解しているかを確認しながら話す
- 内容に合わせた表情とジェスチャー
聞き手と目を合わせることで、こちらの言いたいことも伝わりやすくなります。ずっと目を合わせ続けると相手も窮屈に感じてしまいますから、顔や首もと付近で目線を移動させながら話すと良いでしょう。
聞き手と目を合わせるのは、聞き手が話をちゃんと理解できているかの確認の意味もあります。聞き手が理解できていないような表情や、そぶりを見せた場合には、話し直す必要があるでしょう。
手の動き、身体の動作、表情はとても大切です。
内容に合わせて動かしましょう。
内容
- 伝えたい内容を明確にする
- 論理的かつシンプルな構成を心がける
- わかりやすい言葉で伝える
- 結論を先に伝える
- 例え話を盛り込む
- 一文を短く
- 数字や事実を盛り込む
- 肯定的な表現を使う
まず自分が何を伝えたいのかをあらかじめ明確にしておきましょう。自分自身で何を伝えたいのかわからなければ、相手に伝わることはありません。
聞き手に理解してもらうには、ロジカルシンキングを身に付け、論理的に話すようにしましょう。しかし論理的であっても、だらだらと長い話は退屈です。できるだけシンプルな構成を心がけましょう。
専門用語は使わず、わかりやすい言葉で伝えることが大切です。せっかく良い話や構成であっても、わかりにくい言葉を使ったことで、話が伝わらなくなってしまうこともあります。
ロジカルスピーチは、結論を始めに伝えてから話し始めることが基本です。はじめに結論を述べれば、聞き手は何が言いたいのかをあらかじめ知っているので、話全体を理解しやすくなります。
具体的な例え話を盛り込むことで、聞き手は自分ごとにしやすく、話をより理解しやすくなります。
文章が長くなればなるほど、聞き手は理解しにくくなります。一文はできるだけ短くしましょう。句読点が、1つ入るくらいが目安です。
先述の通りロジカルスピーチでは、初めに結論を述べますが、その次に理由や根拠を提示していきます。根拠となることの提示には、数字や事実を情報として盛り込むことで説得力が生まれます。
否定的な表現を使うと、聞き手は否定された気持ちになり、モチベーションを下げてしまうこともあります。ビジネスの場では、モチベーションはとても重要であるため、否定的な表現を肯定的な表現に言い換えるようにしましょう。
話し上手が重視していること
話し上手は、話をするときには、次のようなことを重視している傾向があります。ぜひこれも取り入れてみてください。
心が伝わる話し方をすること
今回ご紹介したような話し方のコツやテクニックはとても大切ですが、それにプラスして、話し上手は「聞いている人の心をつかみ、行動を喚起するような話し方をしよう」と意識しています。話の内容はもちろんのこと、あなたの心が伝わる話し方を目指してください。
人前で話すときはテンション3倍
身振り手振りだけでなく、心のテンションも意識しましょう。独り言がテンション1倍だとすれば、1対1の話のときはテンション2倍、人前で話すときのテンションは3倍を心がけています。
意識を相手に向ける
「うまく話したい」思うことは良いことですが、話しているときに「うまく話さなきゃ」と思うと、意識が自分に向かってしまい、相手との会話が空回りしてしまうことがあります。
話し上手は話をしているときに、意識が相手に向いています。そのため、相手に喜んでもらえる言葉を意識的に使うなどの柔軟な話し方ができるのです。
笑顔で話す~笑声にもつながる
人は、話の内容よりも話している人の見た目や声のトーンといった雰囲気に強い影響を受けるものです。話し上手はそれを理解しているので、できるだけ笑顔で話すことを心がけています。笑顔で話すと笑声も自然に出すことができるため、おすすめです。
話し方のコツを短期間で身につける3つの方法
①ゴール(目的と聞き手像)を明確化する
プレゼンテーションでも営業トークでも、「誰に・何を・なぜ伝えるのか」という3要素を先に定義すると、学習スピードが上がります。
例えばまず、聞き手の年齢や職種、興味関心を一覧にし、「相手はどんな反応を期待しているか」を言語化しましょう。
次に、達成したい結果(契約獲得・サービス説明・社内合意など)を数値で置き、成功時と失敗時の状況を比較します。このように整理をすることで優先順位がつき、限られた時間でも効率的な練習や情報整理が可能になります。
②PREP法でメッセージを1分に圧縮する
Purpose(結論)‐Reason(理由)‐Example(具体例)‐Point(再結論)の順に並べ替えるだけで、話の骨格は瞬時に整います。
まず結論を10秒で提示し、理由を20秒、具体例を20秒、最後に10秒で締めるイメージです。短時間で概要を提示できるため、上司やクライアントが多くの資料を抱えている場合でも「聞いてみよう」という気持ちが生まれやすくなります。
また、PREPを利用し、文章を声に出して読んでみると、自身の考えとのギャップも把握しやすいというメリットもあります。
③録音&セルフフィードバックで改善サイクルを回す
「練習→録音→自己評価→再実践」を5〜10分刻みで繰り返す方法もおすすめです。スマホで録音した自分の声を聞き、「聞き取りにくい単語」「抑揚が弱い箇所」をメモに残しましょう。
次のサイクルで1か所だけ工夫し修正すると、改善ポイントが明確になりモチベーションが保てます。
フィードバックの際は「声量」「スピード」「間」の3指標を5段階で自己採点すると、効果が数字で見え、成長実感が得られます。短い時間でも回数を重ねるほど結果が積み上がり、自動的に自信につながります。
“やってはいけない”NG話し方5選と改善ポイント
①主語なし・結論なしで始める
「それですが…」から説明をスタートすると、聞き手は概要を把握できずストレスを抱えがちです。改善策は「結論→理由→詳細」の順番を守ること。要点を先に示せば、相手は自分の中で知識の棚を用意できるため、反応が前向きになります。
②早口&小声で情報量過多
資料や数字を多く盛り込みすぎると、脳が処理しきれません。1文あたり8〜10秒、声は通常より1トーン高めを意識すると聞きやすさが向上します。時間を区切り、1スライド1メッセージで作成すると効果的です。
③否定語が多い
「できない」「無理」といった否定語は、議論の可能性を狭めるうえ、営業シーンではサービス価値まで下げてしまいます。「〜すると改善できます」「〜なら利用が可能です」と肯定形に置き換える工夫で印象が一気に好転します。
④専門用語・横文字まみれ
社内外を問わず、横文字の乱発は“分かったふり”を生み、結果として意見の食い違いを招きます。専門用語を使う際は定義をワンフレーズで加える、または日常語に言い換えると、幅広い層に伝わります。
⑤相づちゼロの一方通行
聞き手の顔色を見ずに話し続けると、理解度も興味も下がります。「ここまで大丈夫でしょうか?」と時々問いかけ、状況を確認しましょう。相手の反応を拾いながら話を調整すると双方向のコミュニケーションが生まれ、プレゼンテーション全体の満足度が向上します。
これらのNGを避けるだけでも、短期間で伝達精度が向上し、ビジネスのあらゆる場面で信頼を獲得できます。
まとめ
今回は、話すのが苦手な方に向け、話し方のコツや、意識すると良いことについて解説しました。今回ご紹介したコツはほんの一部ですが、押さえておきたい基本的なことばかりです。ぜひ実践に取り入れてみてください。
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- ロジカルスピーチができるようになる
- プロの緊張対策を知ることができる
- 自信を持って話せるようになる
など、メリットも多数あります。
話すのが苦手な方にとてもおすすめです。ぜひご検討されてみてください。