前回までで、会議の方向性が共有できたところで、いよいよAgendaに沿って、会議を進めていきます。
会議だけでなく、営業やプレゼンもそうなのですが、対面とちがって相手の反応が確認しずらいオンラインでは、決まった人だけが一方的に発言するということはあまり好ましくありません。課題を整理しながら、参加者の意見を引き出し、すべての参加者とともに解決策を見いだせるようなファシリテーションが重要です。
参加者たちの意見を促すための方法としては、他の人にも誰が発言しているかわかるように名前で呼びかけながら、満遍なく発言の機会や質問をふること、オンライン上のチャット機能や投票機能を使って意見を集計すること、などの方法があります。
また、会の進行では、結論と同じくらい<過程>も大切です。
アナウンサーが番組の司会をする時も、番組には前もってある程度の原稿があります。
ニュース番組のようにほぼ流れもコメントも決まっているものもありますが、バラエティや情報番組の場合は、タレントさんの言葉を拾ったり、その場の雰囲気を活かしながら番組本来の流れを損なわずに進行しなければなりません。
自由度が高ければ高いほど、司会者としての力量が問われます。大きく脱線することなく、その場の流れを活かしながらうまく進行するセンスというのは、もちろん経験もありますが、ある種の観察力、洞察力といった直観が働くかどうかも大きいと思います。周りの状況に目を配り、今流れがどうなっているのか常に意識して臨機応変に対応するという意味では、会議のファシリテーションに求められる力もこれと似ていると思うのです。
特にオンライン会議の場合は、賛成のムードが流れているのか、反対のムードが流れているのかさえ、よくわからないこともあります。そんな時、ファシリテーターしては、言語化された情報だけでなく、言葉にならない<雰囲気>をつかむことも大切です。
例えば、「Aさんはそれでいいと言っていたが、なんとなく本音ではない気がした」という言語化されていない情報も、すべて書き留めておきます。
なぜなら、そういった漠然とした要素を入れると結論自体が変わってくる可能性もあるからです。言葉だけを情報として受け取れば、「Aさんは賛成だ」となりますが、<雰囲気>も含めて考慮した場合、「Aさんは『それでいい』と言っていたが、実際はいやいや賛成した感じだった」となり、結果が大きく変わってきます。
時間的な制限もあるので、要素を拾うといっても限りがあるとは思いますが、言葉や最終的な結論だけではなく、その<過程>を考慮していくことは重要です。
なぜなら、ファシリテーターが担うのは、単なる進行役や、強引に会をまとめる役目ではなく、会の参加者全員が納得する結果や、会が目指す最大の成果を引き出すことだからです。
表情の変化なども見えにくいオンラインでは、対面の時よりも観察力が必要になります。
表情だけでなく、声のトーンや口数の多少などに注目することで、気持ちの変化はつかみやすくなるでしょう。
エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈
たったの6時間で話し方に必要なすべての基礎力を身に付けることができる!
話し方教室KEE’Sの人気コースはこちら!
>6時間ベーシックSPEECHコース
オンラインならではのお悩みを解消!
画面超しでも相手に伝わるコミュニケーション術をお伝えします
>オンラインコミュニケーションコース
KEE’Sの全てのレッスンは、対面/オンライン受講から選べます。
本コラムは、著書『オンラインで伝える力』の中から一部を抜粋・編集しています