話し方教室　KEE’S　自分を取り巻くものはすべてネタ

「自分を取り巻くもの」とは、自分の周りの環境、職業、家族、自分が持っている情報、知識など。これらを整理して「話題の引き出し」に入れておけば、端的にあなたのことを相手に伝えながら、会話を楽しんでもらえる「良いネタ」になります。

例えば、職業を聞かれたときに、会社名や部署名だけ、あるいは「営業です」と答えて終わりという人が多いのですが、「営業です」だけでは、相手の中であなたは単なる「〇〇会社の営業の人」という印象しか残りません。

けれども、「今、こういう新しい商品を担当しているんですけど、これをもっと多くの人に知っていただけると、こういう利点があるんです」と説明すれば、その商品の魅力とともにあなたの印象も強くなります。「土日も仕事が入ることが多くて、なかなか家族サービスできないのが悩みなんです」と言えば、あなたのライフスタイルも伝わります。

私は研修でよく「あなたの会社の製品やサービス、それがない人はあなたの会社の良さを説明してください」という課題を出します。なぜなら、それはどんな場所でもあなたの「ネタ」として使えるから。仕事の集まりで突然「スピーチをお願いします」と言われたときになどに好都合ですし、合コンでも使えます。

家族の話題も、「妻と中学生の娘がいます」で終わったらつまらない。あなたが家族とどんなふうにかかわっているか、そこであなたのキャラクターが伝わるのです。「ビジネスだからプライベートの話はちょっと」と遠慮せず、話せそうな雰囲気なら積極的に話題にしてみてください。

もちろん、家族のことでなくても、趣味の話題でも構いません。先日、弊社に来られた方とサラダの話で盛り上がったことがありました。おいしいサラダを食べ歩くのが趣味という男性の方で、弊社はサラダ激戦区の恵比寿にあるため、訪問するのが楽しみだとのこと。男性でサラダ好きというのは珍しいのと「恵比寿のおいしいお店」という共通項があったため、大いに盛り上がったのでした。

日々の生活の中で、あなたはいろいろな情報を得ていると思います。仕事をしていく中で得た、あなたの業界の最新動向。会社の周りのおいしいお店。中学生の娘さんから聞いた、学校で今流行っていること。これらをきちんと話題の引き出しに整理して入れておきましょう。話題を振られたときに、さっと取り出せるように。

ＫＥＥ’Ｓ代表　エグゼクティブスピーチトレーナー　野村絵理奈