最近は、有識者だけでなく、さまざまな職業の人がテレビの情報番組のコメンテーターに抜擢されていますが、人気コメンテーターともなると自分の専門分野に限らず、政治や経済、国際問題から芸能人の結婚や離婚などの話題に至るまで、どんな話題を振られても、それぞれにオリジナリティのある意見を述べることができます。
彼らのように、自分とは直接関係のなさそうな話題に対して、オリジナリティのある、自分自身の意見を言うためにはどうすれば良いのでしょうか?
それは、話題の切り口を限定することです。
自分なりの意見が生まれやすくなる切り口の一つが、あなたの価値観。
切り口をそこに置くことで、身近でない話題、例えば社会問題について話す時にも有効です。
あなたは、社会問題について自分の意見を話せますか?
ミス・ユニバース世界大会の最終審査のスピーチで、毎年かならず出題されるのが、社会問題に対して自分の意見を述べるスピーチです。
「人種差別は私たち人類の課題です。あなたはどうやって人種差別をなくせますか?」
「世界には貧困で飢えを経験している子どもがいます。あなたはこの問題にどう取り組みますか?」
これをたった30秒でスピーチしなければいけません。
ここで試されているのは、人種差別や貧困といった問題に対し具体的な解決策を提示できるかどうかではありません。
審査員が探ろうとしているのは、その人がこれまでどんな経験をし、人として何を思い、何を考え、今どんな問題意識をもって生きているのか。端的にいうなら、その人がどんな人間なのか、ということです。
日本人は、たとえ大会社の社長でも社会問題に対して意見を述べることが苦手です。経済や政治などのビジネスに関連する時事問題には答えられても、貧困や人種差別といった人類の普遍的な課題に対する意見となるとうまく答えられないのです。
多くの場合、その理由はただ一つ。
それについてあまり考えたことがないからです。
実はあまり考えたことがない話題に対し、何の切り口も持たずに挑んでしまうと、たいていどこかで聞いたことのあるようなありふれた回答になりがちです。
そんな時は、自分の価値観という切り口に限定してその話題について考えてみるのです。
(次回にその具体例を紹介します。)
エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈