普段意識せずに話している声のトーンが、相手への印象に大きな影響を与えているのをご存知でしょうか。今回は、声のトーンの重要性から、好印象を与えるトーンのポイントまで解説いたします。
声のトーンが与える印象
声のトーンは相手に与える印象を大きく左右します。同じ言葉でも声の高さが変わるだけで、聞き手の捉え方が変わるため、意識するだけで伝わり方を大きく変えることができます。
高い声が与える印象
高い声は、一般的には喜び、興奮、感動などのポジティブな感情を表現するのに適したトーンです。明るさや若々しい印象を与えやすく、相手の注意を引きつける効果もあります。プレゼンテーションで重要なポイントを強調したり、親しい人と楽しく話したりする際に、自然と声が高くなるのはこのためです。
低い声が与える印象
低い声は、落ち着きや信頼感などの印象を与えるトーンです。真剣に伝えたい話や、説得力を持たせたい話をする時に適していて、仕事で重要な決断を伝えたり、相手に安心感を与えたいときには、意識して声を低くすることで、メッセージに重みと深みが増します。
同じ「ありがとう」という一言でも、トーンを上げることで明るい印象になり「嬉しい!」という気持ちが伝わります。トーンを下げると落ち着いた印象になり「心から感謝しています」という感情が伝わります。このように、私たちは言葉の内容だけでなく、声のトーンから無意識のうちに話し手の感情や意図を読み取っているのです。
営業やサービス業などの話し方が重要となる職業では、ゆっくり聞き取りやすく話すことも大切ですが、更に場面に応じてトーンを使い分けることが、良い印象を作るポイントになります。
好印象を与える“ソ”のトーン
大前提として、人前で話すときの話し方は普段の話し方とまったく同じではいけない、ということがあります。なぜなら普段の話し方のままでは内容が伝わりにくいからです。普段通りに話して、言いたいことがそのまま伝わるのでしたら楽なのですが、そうはいかないのがコミュニケーションの大変なところです。人前で話すのには適したトーンがあり、それがソのトーンなのです。
ここで言うソのトーンは決まった音階があるわけではなく、音階のドレミファソのうち、普段話す高さを「ド」の音階とすると、人前で話すときには「ソ」の音階・高さで話しましょう、ということです。
「ソ」の音はよそゆきの明るい声のため、自分自身の気持ちも明るくできますし、相手にも「この人は元気そうな人だな」「明るい印象の人だな」というプラスのイメージを与えることができるようになります。
“ソ”のトーンを出すトレーニング
「ソ」の音は、実は継続して出すのが想像以上に難しいのです。安定して出し続けるためにはお腹に力を入れる腹式発声が必須です。そのため、意識して「ソ」の音を出すようにすることで、つやがあり空間に響く声が出せるようになりますし、大きな声で話し続けても、喉だけに負担がかかることもなくなります。
腹式発声のトレーニング
ソのトーンに必須の腹式発声は、慣れない人だと難しいかもしれません。誰でも出来るトレーニング方法をご紹介いたします。
- 体を楽に、足を少し広げて、背筋を伸ばして立つ。手で逆三角形をつくっておへその下に
- 肩に力を入れずに手のある部分を膨らませる感覚で、思い切り鼻から息を吸う
- おへその後ろから引っ張られるイメージでお腹に息がたまったら、胸にもためる。
- ためた息を、静かに少しずつ、細い息になるように口から吐き出していく
- 2~4の呼吸を繰り返した後、「あ~」と声をのせる(15秒)。肋骨から響かせていき、最後は部屋いっぱいに響かせる
- 腹式発声を使い、「ソ」のトーンで、「おはようございます。よろしくお願いします」を練習する
トレーニングのポイント
ポイントは、肩や体全体の力を抜いて、リラックスした状態で行うことです。この時、猫背にならないよう注意しましょう。また、喉から大声を出すと喉が枯れてしまうので、腹式呼吸をしながら、お腹から吐く息に、声を乗せて響かせるイメージで練習しましょう。
自分では「この声、高すぎて変なのでは?」と思っても、録音して聞いてみると、わざとらしい感じはせず、むしろ快活なイメージを与えられる声になっていることがわかると思います。 「ソ」の音、 ぜひ試してみてくださいね。