得られる情報の少ないオンライン会議においては、限られたやり取りの中でお互いの認識を合わせる努力をし、コミュニケーションミスを防がなければいけません。
そこで欠かせないのが、相手の意図を正確に引き出す傾聴力、<ロジカルヒアリング>のスキルです。
ロジカルに聞くというのは、論理的に必要な要素を引き出すということです。
そもそも相手の話を聞く場合、何を聞き取れば十分と言えるでしょうか?
多くの人は、「相手が話すことをもらさず聞くこと」と誤解していますが、それでは、相手が言いたいことを的確に言語化できていない場合には、相手の意図はあなたに伝わらないということになります。
言い換えるならば、ロジカルヒアリングとは、受け身ではなく能動的に、相手の話を引き出す、ということです。聞き出すべき要素をもれなく、一つ一つ相手の意図と自分の認識がずれていないか確認しながら聞き取るヒアリングであると言えるでしょう。
例えば、お客様から
「納期はできるだけ早く、できれば2週間以内にお願いしたい」
と言われたとしましょう。
お客様の言葉をそのままヒアリングした場合は、
「2週間以内の納品の場合、特別料金がかかってしまいますが大丈夫ですか?」
「それなら、倉庫に在庫のある旧モデルになりますが、いかがですか?」
「すぐに納品が可能かどうか、帰社後に確認してからお返事してもよろしいでしょうか?」
のような返答になりがちです。
でも、ロジカルにヒアリングするのであれば、ロジカルに伝える時と同様、<WHY>を先に聞いておく必要があります。
「わかりました。まずは、お急ぎの理由をお聞かせいただけますか?」
この質問をしなければ、お客様の言葉の真意を汲み取ることができません。
もしかしたら、「良い商品なので、できるだけ早く導入したいと思って」という回答かもしれませんし、「3週間以内に商品を使用する予定があり、その前に使いこなせるように準備しておきたい」という回答かもしれません。この2パターンでも、お客様の「急いでいる」というニュアンスは随分違っています。
いずれにせよ、真意を汲み取ることができれば、提案の選択肢が広がりますし、お客様の意図に沿う最良の策を検討することもできます。
前者のヒアリングのように、「2週間以内の納品」という要望に対して、HOW(どうやって)やWHAT(何)を聞き取る前に、<WHY>、「なぜ」という核心を聞き取ることからスタートすると、お互いの認識のズレが広がっていくのを極力小さく抑えられます。もちろん、それをベースに、HOWやWHATといった詳細をしっかりと聞き取ることを忘れてはいけません。
特にオンラインでは、やりとりできる情報が少ないぶん、ちょっとした行き違いから思ってもいない方向にあっという間にぐんぐん進んでいってしまいます。
WHYを共有しつつ話し合いを進めるからこそ、HOWやWHATの議論の質も高まるとも言えるでしょう。
このロジカルヒアリングのテクニックは、オンライン会議中だけでなく、対面でも、クライアントの意向を聞く場面でも、1対1の面談でも、そして夫婦や親子の会話でも、とにかくあらゆるヒアリングの場面で役に立ちますので、ぜひ、身につけていただきたいと思います。
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本コラムは、著書『オンラインで伝える力』の中から一部を抜粋・編集しています